【たったこれだけ】アルバイトで得た有給を確実に消化する方法

公開:2023/12/25 更新:2023/12/25
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「自分に有給休暇が発生するのだろうか」

「有給休暇を取得したものの、確実に使えるか自信がない」


上記のように考えた経験はないでしょうか。


そこで、今回はアルバイトで得た有給を確実に消化する方法を紹介します。本記事を読むと、有給を使うためには何をするべきかを把握できるでしょう。


また、有給を取得するために必要な条件や有給休暇の計算方法に関しても紹介しています。コールセンター内で、アルバイトやパートの有給についてわからない方や悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

有給休暇はアルバイトでも取得が可能か


結論からいうと、アルバイトやパートでも有給を取得できます。なぜなら、労働基準法の第39条にて明確な基準が定められているからです。

業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、 一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません。
 引用:厚生労働省「労働基準法第39条」


有給が発生する日時や条件については場合分けされているので、後ほど紹介します。

有給を取得するために必要な条件とは


アルバイトでも有給を取得するための条件は、以下の通りです。

  • 入社から半年が経過している
  • 全労働日に対する出勤率が8割以上ある

くわしくは、厚生労働省が運営する働き方・休み方改善ポータルサイトに記載されています。ここからは、上記2つの有給を取得するための条件を順番に紹介します。

入社から半年経過後

入社から半年が経った時点でアルバイト・パートにも有給休暇が付与されます。こちらも労働基準法第39条に詳しく書かれています。

(例)
4月1日入社の場合:10月1日に有給が貰える
9月1日入社の場合:3月1日に有給が貰える

基本的には有給が付与されたタイミングで上司から伝えられる場合が多いです。しかし、稀に何も言われない場合もあります。


働くモチベーションにもなるため、勤務開始日と有給付与日をあらかじめ把握しておきましょう。

全労働日に対する出勤率が8割以上

休日以外の労働日から8割以上出勤している場合には、「入社から半年経過後」時点で有給がもらえます。

この2つの条件をクリアしたタイミングで労働基準法第39条の「一定の要件」を満たしたことになり、有休が付与されます。


有給日数は労働時間や労働日数によって違う


有給日数は、労働時間や労働日数によって違うので注意が必要です。

平成31年4月より労働基準法が改正されて以降、もらえる有給日数はまず、以下の2パターンに分かれます。

  • 基準を満たしているケース
  • 基準を満たしていないケース
ここでいう基準とは、1週間あたりの「労働時間」と「出勤日数」をいいます。

基準を満たしているケース

以下の基準を満たしている場合には、基本日数の有給がもらえます。

  • 就業条件が週30時間以上
  • 就業日数が週5日以上
付与日数は、以下のように勤務年数によって変わります。

勤務年数

付与日数(基本日数)

0.5年

10日

1.5年

11日

2.5年

12日

3.5年

14日

4.5年

16日

5.5年

18日

6.5年以上

20日


基準を満たさない場合は、比例付与の方式で付与日数を計算します。

基準を満たしていないケース

下記の条件を満たさない場合は、フルタイムの従業員と同じ方法で、付与日数を計算します。

  • 所定労働時間が30時間未満
  • 週の所定労働日数が4日以下

付与日数を計算する方法は、以下の通りです。

【基準を満たしていないケース】付与日数の計算方法
「出勤日数」÷「所定労働日数」=「付与日数」
⇒結果が8割以上(0.8以上)であれば有給が付与される

要するに、「入社から半年経過後」かつ「全労働日に対する出勤率が8割以上」であれば、有給がもらえます。


勤務年数

週所定の労働日数

(1年間の所定労働日数)

1日

2日

3日

4日

0.5年

1日

3日

5日

7日

1.5年

2日

4日

6日

8日

2.5年

2日

4日

6

9日

3.5年

2日

5日

8日

10日

4.5年

3日

6日

9日

12日

5.5年

3日

6日

10日

13日

6.5年以上

3日

7日

11日

15日

※所定労働日数が週によって決まっている場合は「週所定労働日数」、それ以外の場合は「1年間の所定労働日数」で判断します。
※所定労働日数は付与時点の週所定労働日数で計算します。

また、週の所定労働日数が一定ではない場合は、直近6ヵ月の労働日数を倍した値、もしくは前年の労働日数を基準に所定労働日数を計算します。

アルバイト・パート労働者の有給賃金の計算方法


アルバイトやパートで働く際の有給賃金の計算方法は、以下の3通りがあります。

  • 通常の賃金から算出
  • 平均賃金から算出
  • 標準報酬日額から算出
それぞれの計算方法を紹介します。

通常賃金から算出

定められた労働時間がある労働者の場合、労働時間に時給を掛けて、本来勤務するはずだった賃金を計算します。

コールセンターのアルバイトやパートで多く採用されているシフト制の労働者の場合は、予定されたシフトの時間に基づいて賃金を計算します。

■通常賃金の算出方法
「労働時間」×「時給」=「有給賃金」

予定されたシフトの時間に基づき賃金を計算するため、計算しやすいでしょう。

平均賃金から算出

平均賃金から算出する際は、労働基準法で定められた平均賃金の計算方法によって算出されます。具体的な算出方法は以下の通りです。

■平均賃金の算出方法
 1.「過去3ヵ月間にその労働者へ支払われた賃金の総額」÷「その期間の総日数」=「有給賃金」

2.「過去3ヵ月間にその労働者へ支払われた賃金の総額」÷「その期間の実労働日数の60%」=「有給賃金」

出典:厚生労働省「平均賃金(労働基準法第12条)」

1.と2.の中でより高い金額が、平均賃金となります。

標準報酬日額から算出

アルバイトやパート労働者の場合、標準報酬日額の算定方法は以下の通りです。

■標準報酬日額の算出方法
「標準報酬月額」÷ 30 =「標準報酬日額」

出典:労働基準法施行規則第25条第3項

従業員が得た給与などの報酬月額を1〜50の等級で区分し、「標準報酬月額」とします。そして、この標準報酬月額を30で割って「標準報酬日額」を計算します。

アルバイト・パートの標準報酬月額の計算は、以下の表を参考にしてください。

支払基礎日数

標準報酬月額の決定方法

4~6月の3ヵ月とも

支払基礎日数が17日以上ある場合

3ヵ月の報酬月額の平均額をもとに決定

4~6月の3ヵ月のうち

1ヵ月でも支払基礎日数が17日以上ある場合

17日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決定

4~6月の3ヵ月のうち

3ヵ月とも15日以上17日未満の場合

3ヵ月の報酬月額の平均額をもとに決定

1ヵ月又は2ヵ月は15日以上

17日未満の場合

(ただし、1ヵ月でも17日以上ある場合は除く)

15日以上17日未満の月の報酬月額の平均額をもとに決定

4~6月の3ヵ月とも15日未満の場合

従前の標準報酬月額で決定


企業が健康保険に加入している場合、従業員の標準報酬月額がわかっているので、計算は簡単です。ただし、上限額があるため、通常の賃金や平均賃金を支払う場合よりも、有給休暇中の賃金が少なくなるかもしれません。

注意点として、労使間での協定が必要なことも留意しておきましょう。

有給を確実に使うためにするべき3つのこと


せっかく有給休暇を取得したのであれば、確実に使用したいものです。

しかしながら、コールセンターでアルバイト・パートをしている場合、有給の取りやすさは会社によって異なります。

ここでは、有給を確実に使うためにするべきポイントを紹介します。

自分の勤務時間を把握すること

まずは、自分の働く時間を把握することが大切です。

なぜなら、自分の勤務時間や勤務日数を知らないと、保有している有給休暇の量や、いつどれくらいのタイミングで使うべきか判断できないからです。複雑に思えるかもしれませんが、最近ではスマホアプリを使って簡単に出勤日を記録する方法などがあります。

スマホアプリは、休憩時間や勤務時間を入力するだけで、累計の勤務時間や勤務日数を自動的に計算してくれるので便利です。

使用日に関して上司と相談する

有給休暇を取りたい場合は、事前に上司への相談が大切です。

有給休暇は労働者の権利ですが、業務の円滑な運営をするためには人員確保が非常に重要です。特に繁忙期を避けて相談すると、比較的受け入れられやすい傾向があります。

例えば、食品系のコールセンターであれば、お中元やお歳暮の時期などを避けると、有給休暇の取得がしやすくなります。業種によっても異なるので、事前に有休の取りやすい日程を確認しておきましょう。

有給消化を退職前に行う

有給休暇が余っている場合、退職前に必ず残りの有給を消化することを忘れないようにしてください。

なぜなら当たり前のことですが、退職後には有給休暇を使えないからです。自分がまだいくつ有給休暇を残しているかを把握しておくと、退職日や最終出勤日を計画するときに役立ちます。

退職前に残りの有給休暇を使わせてもらえないことは、違法行為です。ですが、一部の企業ではそのような慣習が残っている場合もあります。退職前の有給取得を阻止された場合は、会社の人事部や労働基準監督署に相談しましょう。

まとめ


アルバイトやパートでもあっても、有給休暇の取得が可能です。

ただし、取得には一定の条件を満たす必要があります。具体的には、入社から半年経過後、全労働日に対する出勤率が8割以上でなければなりません。

また、有給日数は、労働時間や労働日数によっても異なる基準が設定されています。有給を確実に消化するためには、本記事を参考にして取得してください。

退職前には、有給消化を積極的に活用して、無駄がない利用方法をしましょう。

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