電話対応の言葉遣いマニュアル|敬語の基本やNG例なども解説
「コールセンターの仕事が気になっているけど言葉遣いに自信がない」「電話対応が苦手だけどオペレーション業務にチャレンジできるかな」とお悩みの方へ。
本記事では、丁寧語/謙譲語/尊敬語のおさらいや電話対応で役立つ表現方法や言葉遣いのNG例、正しい言葉遣いをマスターする方法などを紹介します。
この記事を読むと、電話対応での言葉遣いのポイントやマナーを把握でき、オペレーション業務にチャレンジする自信がつきます。
ぜひ最後までご覧ください。
電話対応の言葉遣い【敬語】
自信をもって電話対応に臨むためには、正しい言葉遣いを知ることが非常に大切です。
普段なんとなく使っている敬語について、改めておさらいしましょう。
ここからは、正しい言葉遣いの基本となる「丁寧語」「謙譲語」「尊敬語」の3種類の敬語について解説します。
です・ます表現の「丁寧語」
「~です」「~ます」のように、相手に対して丁寧に表現する敬語を「丁寧語」といいます。丁寧語は、丁寧に表現し相手に敬意を表す敬語表現です。
自分を低く位置づける「謙譲語」
謙譲語は、自分がへりくだる(相手を敬って自分を控えめにする)ことで相手を立てる敬語表現です。
「する」の謙譲語を使用する際には、少し注意が必要です。
自分が一方的に行う動作のときは「いたします」を使います。
後日ご連絡いたします
ご用意いたします など
相手に許可をもらった動作のときは「させていただきます」を使いましょう。
15時に訪問させていただきます
日程を変更させていただきます など
謙譲語は、正しく使用しないと伝えたいことが伝えられないので、使い方に気をつけてください。
相手を高く位置づける「尊敬語」
尊敬語は、相手(または第三者)を自分よりも高く位置づけ、対象の相手へ敬意を表す敬語表現です。
謙譲語と尊敬語の違いに、混乱する方も多いでしょう。
次に、その違いについて解説します。
謙譲語と尊敬語の違いは○○
謙譲語と尊敬語は、誰の動作を表しているのかがポイントになります。
謙譲語は「自分(話し手)」の動作に使い、動作を受ける人に対して敬意を表す敬語表現です。
尊敬語は「相手(聞き手)」や話題になっている人の動作に使い、相手(聞き手)に対して敬意を表します。
動作をするのが自分なのか相手なのかで使う敬語が変わるので、しっかり押さえておきましょう。
また、敬語が学べる無料アプリもあります。空き時間で敬語をマスターできるので活用しましょう。
電話対応の言葉遣いをレベルアップさせるポイント
コールセンターに限らずビジネスシーンの電話対応では、役に立つ言い回しや表現方法があります。
電話対応でのふさわしい表現や、覚えておくと便利なテクニックがあるのでチェックしましょう。
①表現方法
電話対応では、言葉遣いだけでなく言い回しも身につけたいポイントです。
正しい表現の一例を紹介しますので、覚えておくと便利でしょう。
②クッション言葉
クッション言葉とは、お願いやお断り、反論する際など「言いにくいことを伝えるとき」に使う言葉です。
言いにくい言葉をそのままストレートに言うと、きつい印象を与えてしまいますが、クッション言葉を使うとマイルドな印象になります。
ここでは、クッション言葉の一例を紹介しますので、ぜひ覚えておきましょう。
③YES・BUT法
YES・BUT法(イエス・バット法)は、肯定と否定を使い分ける表現方法です。
例えば、お客様からクレームが入ったとき、間違っていた場合にすぐ「違う」といってしまうと、火に油を注いでしまいます。
「たしかに、おっしゃるとおりです」など、一旦相手の意見を肯定的に受け入れましょう。それから「しかし」と続けると否定を柔らかく表現できるうえ、相手もこちらの意見を受け入れやすくなります。
④YES・AND法
YES・AND法(イエス・アンド法)は、相手の意見を受け入れてから、自分の意見を提案する方法です。
お客様が発言した際に、「わかります」など一旦肯定的に受け入れます。それから「そして」「では」「それなら」といった言葉でつなげてください。
YES・BUT法は、肯定してから否定をする表現でした。一方YES・AND法は、肯定してから提案する方法のため、さらにソフトな印象を与えられるでしょう。
電話対応で覚えておきたいNGな言葉遣い
コールセンター業務など電話対応の際に、覚えておくと役立つ言葉遣いのNG例を紹介します。
間違った言葉遣いで電話対応の質を下げないよう、ぜひ覚えましょう。
もしもし
「もしもし」は、お客様に対する電話対応ではふさわしくありません。「申す申す」をみじかく略した言葉で、カジュアルな挨拶だからです。
コールセンター業務の電話対応では、もしもしではなく「お電話ありがとうございます」を使いましょう。
そうですね
「そうですね」や「そうなんですね」は相手の発言を肯定する表現ですが、目上の立場から目下の立場にOKを出す際に使用されます。そのため、お客様に対して使うのはふさわしくありません。
「さようでございますか」「おっしゃるとおりです」などを使うようにしましょう。
了解しました
本来「了解しました」は、目上の方に対して失礼な言葉ではありませんでしたが、2000年代後半ごろから「目上には使わない」といわれ始めました。
お客様の中には「了解しました」といわれると不快に感じる方もいるので、「かしこまりました」を使うようにしましょう。
お名前をお伺いできますか
「お伺いできますか」は、二重敬語(同じ種類の敬語を重ねて使う)です。丁寧さを考え過ぎるあまり、無理に丁寧な表現を重ねることで電話の相手に違和感や冗長さを与えてしまいます。
「お名前をお伺いできますか」は「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」にしましょう。
二重敬語にはほかにも下記の例があります。
お読みになられる→お読みになる
拝見させていただきます→拝見します
伺わせていただきます→伺います など
電話対応の正しい言葉遣いを習得する方法
正しい言葉遣いを習得するためには、正しい言葉遣いの実践的な学習を行うとより自信を持つことが可能です。
ここからは、言葉遣いの学習方法について紹介します。
《アプリで学習する》
敬語を学べるアプリで学習する方法があります。
クイズ形式で敬語を学べるものや、文章を敬語に翻訳してくれるものもあるので、自分に合ったアプリを選んでダウンロードしましょう。
《ロールプレイングで練習する》
電話対応のロールプレイング(ロープレ)は、2人組になって「お客様役」と「電話対応役」にわかれ、実際の電話対応を想定して練習する方法です。
コールセンターでは、新人研修として一般的にロープレが取り入れられています。
お客様とのやり取りはその都度異なるので、ロープレを通して対応の仕方や言葉遣いを練習しておくと、自信を持って電話対応ができるようになるでしょう。
《オンラインで参加できるセミナーに応募してみる》
オンラインで開催されている電話対応のマナー講座などもあります。
費用はかかりますが、「電話対応に対する苦手意識を克服したい」と思う方にはぴったりでしょう。
電話対応で意識したいのは言葉遣いだけではない
ここまで電話対応での言葉遣いや表現方法について紹介しましたが、電話対応で意識したいのは言葉遣いだけではありません。
言葉遣い以外で心掛けたい、電話対応のマナーを解説します。
電話の切り方にも注意する
まず、電話の切り方です。
通話が終わったからといって雑に電話を切るのは、相手への配慮が欠けている印象を持たれてしまうかもしれません。
固定電話の場合は、受話器をいきなり置くのではなく、手でフックを押して電話を切りましょう。電話が切れているか確認をしたら、静かに受話器を置きます。
携帯電話の場合は、相手の声が遅れて届く場合があります。会話が終了したら、3秒待ってから切るようにしましょう。
声の大きさやトーンに気をつける
特にコールセンター業務では、第一声はお客様への印象を左右する大事なポイントです。
第一声は明るくて柔らかい声を意識し、終始声のトーンを意識して会話しましょう。
クレームなど厳しい意見の場合は、慌てずに声のトーンを徐々に落とし、真剣に聞いていることを伝えるため相槌を打つのがポイントです。
不確定な返事は避ける
初めのうちは、問い合わせ内容について答えられない場合もあるでしょう。わからないことがあるのは決して悪くありません。
その場で返答できないときに、焦って曖昧な答えを伝えるのはタブーです。
どうやって答えたらよいかわからない場合は、「確認して折り返しご連絡いたします」と伝え、確実な回答ができるようにしましょう。
まとめ
今回は、電話対応の言葉遣いについて解説しました。
本記事の内容を要約すると、下記の通りです。
- 敬語には丁寧語/謙譲語/尊敬語があり、特に謙譲語と尊敬語は混乱しやすいので正しく覚える
- 電話対応には正しい言葉遣いや言い回しがある。また、クッション言葉やイエス・バット法、イエス・アンド法は電話対応で役立つので覚えておくと便利
- 正しい言葉遣いをマスターするためには、アプリやセミナーでの自主学習や、ロープレ研修で実践力を磨くことも大切